2011年12月3日土曜日

何のために絆創膏もってるの?転ぶためでしょ?

記憶喪失になって昔の恋愛の後悔もトラウマも全部全部忘れられたら、どれだけ幸せなんだろう?今の自分があるのは君のおかげとかどこぞのRADWIMPSが歌ってようがなんだろうが、なんだかんだ後悔を背負って生きてることはやっぱり辛いことに違いはない?


指輪をはめたい

あらすじ:スケートリンクで転んで気を失ってしまった製薬会社の営業マン、片山輝彦のカバンの中から出てきたのは見覚えのない婚約指輪だった…!恋人に関する記憶だけサッパリと無くなってしまった輝彦の前に、まるでタイプの違う3人の女性が現れ、それぞれが彼女だと名乗る。クールな才女智恵、明るくセクシーなめぐみ、家庭的な和歌子。指輪があるからには、彼女たちのうちの誰かを愛していたことは確かだ。僕の指輪を待っている大切な人にプロポーズしなくては!でも一体、誰に!?なぜ、愛する人の記憶だけ失ってしまったのか、果たして指輪は誰のためのものなのか? 見覚えのない指輪と見覚えのない恋人たちに翻弄されるうちに解き明かされる、輝彦が心の奥にしまおうとした想い。恋の記憶をめぐる結末には、意外な秘密が隠されていた・・。30歳を目前に控えた、情けなくも憎めない独身男子の、結婚相手と失くした記憶をめぐるラブファンタジー!

今年の二大ラブひねくれ邦画として「モテキ」とこの「指輪をはめたい」を並べたいと思うんだけど、昨今流行りのヘタレ男子と芯の強い女性の物語というだけで言い切れる物語ではないと思いたい。ヘタレ男子だから、こんな恋愛になっちゃうとかもう全然言い切れないと思ってしまう。恋の無根拠さだったり、いい加減さがどうにでも言い切れて受け入れられるようになってきてしまったんだと思うし、受け入れられるようになったというよりは、そう理解せざる負えなくなってきたんだというか。だからこそ、現代の男の子はどっかしらM的でもがかざるおえなくなってきちゃったというか。

恋や愛で綺麗に語られることが幻想になってしまったから、もう古臭い真実の愛みたいな言説をむしろ幻想じゃないんだと取り戻そうと必死にもがき始めたって感じなんだと思う。愛を信じてる俺、かくあるべき俺なんてものも、もうないとつきつけられて、それでもすがりたがってる。ひねくれ。

輝彦は、一過性の記憶喪失で恋愛のことだけすっぽり抜けてしまうというなんとも都合のいいお話なわけだけど、男心なんとも都合のいいお話なわけです。冒頭に書いた、過去の恋愛全部忘れられちゃったらいいねーというまるで憧れなお話がファンタジー的な演出ととてもマッチしていて、映画を見てると淡い感情に浸れるし、途中まではちゃんと幻想を取り戻せるような気がするけど、そこからガッと現実に輝彦と一緒に現実に引き戻される展開で物語は進む。

男なら誰しもが今まで思い馳せた夢想した恋に絡まるありとあらゆる感情を、終盤は、なんかこう男心つつきにつつかれて。。苦い。

幻想の中のふみちゃんは、とてもそれは可愛いのだけど、ネタバレになってしまうのであまり詳しい事はいえないけど現実に引き戻され立ち返ったところに現れた彼女は可愛く写そうという一切の気持ちが画面に現れてないくらいに可愛くない。

男の子にとって妄想の中の女の子が1番可愛いんだよね。

こうした男心を掬った物語を描いたのが女の監督さん(岩田ユキ監督)てのが面白いなって思う。あーつつかれた感情全部、見透かされてるんだなぁという。

主演の山田くんは、最近ましましてカメレオン俳優でいい演技。キャスティングはかなり良かったと思う。真木ようこが、さばさばとしたイメージと愛嬌をうまく結びつけたいいキャラであっけにとられるくらい良かったし、池脇千鶴子の素朴さも小西真奈美のツンデレ感もよかった。まぁスケートリンクの天使なふみちゃんが一番可愛いんだけどね。あのふみちゃんのスケートリンクの上でのあのしゃべり方は、夢の中で声をかけられてる感じがしたなぁ。

夢想の中に閉じこもっているところから、一歩踏み出したときにちゃんと現実に夢を見れるような、ちゃんとひねくれちゃうことももがいてることも真っ直ぐ肯定してくれるようないい映画。

なんのためにばんそうこうもってるの?転ぶためでしょ?

これは絶対男の子に観て欲しい作品。ちゃんと絆創膏もってる。

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