2013年1月2日水曜日

2012映画ベスト

2012年が終わりました。いやぁ、早かった。あっという間です。色々環境の変化もありましたし、有難い出会いもありました。そんな一年、たくさん映画を観れました。順位というのは、野暮なことで、好きだった映画は好きだったということ以上の何物でもなく、面白かったものは面白かった以上の何物でもなく、それぞれがそれぞれでいいわけですけども。しいて、お気に入りの10本を並べてみました。気分でどうにでも入れ替わってしまいそうなものですが、よろしくおねがいします。



劇場鑑賞257本(短・中篇30本含む)より
※旧作と映画祭での鑑賞作品はベスト選考から除いています。


【2012映画ベスト】
①『ミッドナイト・イン・パリ』(ウディ・アレン)
②『裏切りのサーカス』(トーマス・アルフレッドソン)
③『桐島、部活やめるってよ』(吉田大八)
④『ホビット 思いがけない冒険』(ピーター・ジャクソン)
⑤『生きてるものはいないのか』(石井岳龍)
⑥『おとなのけんか』(ロマン・ポランスキー)
⑦『サウダージ』(富田克也)
⑧『ダークナイトライジング』(クリストファー・ノーラン)
⑨『レ・ミゼラブル』(トム・フーパー)
⑩『ドライブ』(ニコラス・ウィンディング・レフン)

次点『Jエドガー』『幸せへのキセキ』『アーティスト』『別離』『アルゴ』『アウトレイジビヨンド』『メランコリア』『恋のロンドン狂想曲』『預言者』『灼熱の魂』『プロメテウス』


軽くコメントを

①『ミッドナイト・イン・パリ』
大好きなウディ・アレンの完成度の高い作品が去年の「人生万歳!」と今年の今作とで立て続けに見られたことを嬉しく思う。オーウェン・ウィルソンのウディ・アレンを彷彿とさせる名演には痺れました。出てくる役者陣の見事なこと、女優陣の美しいこと、役者が生き生きしているように見えるのは本当に見ていて楽しくなる。ウディ・アレンの寝取られな感性の高さも堪能できて、ラストのレア・セドゥと雨のパリは今年観た映画の中でも群を抜いて素晴らしい瞬間だった。ウディ・アレンのドキュメンタリー「恋と映画とウディ・アレン」も面白かった。もう大分お歳だけれども、まだまだ作品を撮り続けて欲しい。愛すべきウディ・アレンでした。

②『裏切りのサーカス』
英国ベテラン俳優陣の大共演に心躍らさせられました。ゲイリー・オールドマンの静かな、そして怒りのような重みのある芝居には感服。中でもトム・ハーディは出色で、今年はダークナイトライジング、Black&Whiteと彼の才能を堪能できた一年であったとも思う。トーマス・アルフレッドソンは「僕エリ」から追いかけていきたいと思ってる監督さんです。ラストシークエンス、ラメールが流れてくるパーティ会場は本当に心に残っています。ちょっと難しいと言われたりもしていましたが、実際はそんなことはなく、多少読解力的なものを試されるとこはありますけれども、オススメです。面白かった。

③『桐島、部活やめるってよ』
最後の東出くんの拾って戻ってくるまでの動線と泣きの芝居のしつこさ?は二度目の鑑賞でノレないなぁと思ったものの、他高校生らしいとも言える生々しい芝居がとても良かったです。神木くんはいいところで芝居を締めてくれてさすがの一言。何を隠そう橋本愛!!!徹底したカテゴリーの視線と切実な「恋愛」。ナードな、いわゆる見下げられている映画部の主人公前田(神木くん)が、イケイケ女子カテゴリーの中でもまだナードな彼らにも優しいという女の子(橋本愛)に恋をしている。ただそんな橋本愛ちゃんも、帰宅部系天然パーマ野郎と付き合っているという事実である。カテゴリーの視線の中でこうしたカテゴリーの距離感がとても辛くわかる、本当に切なくなる恋愛模様。誰でも好きな子がなんであいつと付き合うんだよ!って思ったことあるはず、それをえぐってくれる。ある種のカテゴリーが吹っ飛んだ屋上でのゾンビシーン。何より素晴らしいのが「橋本愛の鎖骨をゾンビに食いちぎらせる」ところ!!!!(しかもその所でスタンダードだったゾンビ妄想シーンが、シネスコになる!!!)

④『ホビット 思いがけない冒険』
前日譚もあってスケールはいささか小さいけれど、LOTRに繋がる不穏さもまた骨身に染みるし、最新の技術に大好きなLOTRの世界がさらに広がって行く贅沢ったらない!お前に会いたかった!って叫びたくなりましたよ。ガンダルフがいる安心感。ゴラム可愛い。若き日のビルボ演じるマーティン・フリーマンも良かったですね。ドラマ版「シャーロック」では、相棒のワトソン。堅気で頑固な気質みたいなものは大変ビルボにはまり役でした。素晴らしい。音楽も素晴らしかった。ドワーフの哀愁漂った歌もいい。ドワーフの旅の仲間たちがこれからどんどんキャラ立つと思と楽しみだ。冒頭のワクワク感。あの茶色の魔法使いのうさぎそり活躍最高だった。顔がうさぎみたいだしね。ああ、色々思い出すだけでもう一度みたいです。三部作これから楽しみ。

⑤『生きてるものはいないのか』
五反田団の戯曲「生きてるものはいないのか」を石井岳龍が監督するという。あの石井岳龍がですよ。音楽がとにかく最高で、いやぁ、名演じゃないですか。役者さんたちそれぞれ随分心に残っています。轟音が鳴り響くのとは裏腹に浅いようでリアルな会話に浅い関係が広がってるのが、みんな何に関係して何して生きてんのーとか思う。で死ぬ。震災後だからこその不穏さも忘れてはならないでしょうし。ただただ直面する感慨、あの終末感。最高でした。

⑥『おとなのけんか』
ゲロにつぐゲロですが、声だして笑った~面白い!論理的だけどたまに飛躍してぼけたり、酒をいれてからのヒーットアップといい、帰りそうで帰らない展開の妙といい、最高の会話劇だったなぁ。戯曲原作ではあるし舞台で観るべきお話なのかもしれないけど、じゃなくて良くて映画だからこそ、むしろ生々しいってあると思うんだよねー。素敵だ。四人の役者もたまらなく名演だった。ロマン・ポランスキーは去年の「ゴーストライター」とさすがですわ。しびれる。

⑦『サウダージ』
今年の初頭に観ました。日本の自主映画をあまり観たことがなかったこともあって、度肝を抜きました。これほど面白いのか。哀愁と多国籍に入り混じった郊外、風景に不良感性の高さ、時代を切り取っていくような感性に酔いしれた。あんまり言葉にできないので多くを語れないけれど、面白かったです。

⑧『ダークナイトライジング』
ノーランバットマン最終章です。今年はこのランキングを観てもそうですが、アン・ハサウェイとトム・ハーディの一年だった。この二人が共演している。しかも、素晴らしい役どころで、である。物語の粗雑さというか、バットマンの世界観がどこか崩れてしまったような、ある種の世界が外に開けてしまったような印象がうけるのと、マリアン・コティアールの残念な芝居も含めて、色々グチグチ言いたくなってしまうのだけれど、個人的にはジョーカーに引き継いたベインという悪役の造形は大変ツボでして(寝取られベスト10参照)そして継承のヒロイズムには心震えました。

⑨『レ・ミゼラブル』
ミュージカル映画、いわゆるディズニーや雨に唄えばのようなものは楽しめるんだけど、シュルブールの雨傘やオペラ座の怪人など芝居として歌われた時にどうにも違和感が拭えなかった。だけど、レ・ミゼラブル158分間ほぼ歌なのに驚くほどノレました。自分でもびっくり。全て杞憂だった。アン・ハサウェイにヒュー・ジャックマン、と名演。感無量。鼻水垂らしながらボロ泣きしてしまいました。新しい世界に一歩踏み入れることができたような嬉しさがあったのでランクイン。良かったですよ。

⑩『ドライブ』
正直、「幸せへのキセキ」と「Jエドガー」と悩みに悩んだ。ただなんだろう。この映画を観た時の新鮮なゾクゾク感をきちんと覚えておきたいなぁと思ってしまうほどだった。ひとつ昔にもほどがあるようなライアン・ゴズリングの寡黙男、ダサいように感じる音楽や格好がなんだか煌めいて見えてきてしまう瞬間。ライアン・ゴズリングの空気のように溶けこんでいく芝居は去年のブルーバレンタインでもそうでしたが、相変わらず素晴らしい。エレベーターでのキスシーンは最高だった。キャリー・マリガンもとてもよかった。


以上。いやぁ、まったくもってまとまっていないコメントですけど、ほんと順位なんて関係なく好きな10本!っていう気持ちが伝わってもらえたら嬉しいです。


【劇場鑑賞、心震えた旧作10本】
『アンダーグラウンド』『ラブストリームス』『オープニング・ナイト』『白夜』『スカーレット・ストリート』『一条さゆり 濡れた欲情』『3-4×10月』『ビッグ・コンボ』『お葬式』『刑事ベラミー』『カリフォルニア・ドールズ』

【劇場鑑賞特別枠】
『スプリング・ブレイカーズ(TIFF)』『インポッシブル(TIFF)』『ポッポー町の人々』『Pina 3D 踊り続ける命』『演劇1、2』『マルドゥック・スクランブル圧縮燃焼排気』『旧支配者のキャロル』『紀子の食卓』

本年もよろしくお願いします。

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