2012年1月21日土曜日

2011年邦画BEST

あけましておめでとうございます。皆様の映画生活がさらなる充実をすることを祈りまして、今年もよろしくお願いします。

2011年のベスト10を去年の暮に発表しましたが、邦画がベスト10に入らなかったことが少し残念で気になっていました。

去年の全劇場鑑賞数141本の内、邦画が30本の約二割というあまりの少なさに愕然さえして、邦画はもういいかなぁとも思っていましたが、やはりせっかくなのでベスト10としてブログに残しておきたいと思い、改めて【2011邦画ベスト10】を発表したいと思います!(最近映画雑誌の発表が相次いだのにも若干感化されつつということで)

全28本劇場鑑賞邦画作品の中からベスト10!

第1位…『冷たい熱帯魚』〈園子温〉

第2位…『指輪をはめたい』〈岩田ユキ〉

第3位…『ハードロマンチッカー』〈グ・スーヨン〉

第4位…『探偵はBARにいる』〈橋本一〉

第5位…『恋の罪』〈園子温〉

第6位…『REDLINE』〈小池健〉

第7位…『劇場版神聖かまってちゃん』〈入江悠〉

第8位…『婚前特急!』〈前田弘二〉

第9位…『海炭市叙景』〈熊切和嘉〉

第10位…『神様のカルテ』〈深川栄作〉


コメント
「冷たい熱帯魚」…でんでんの怪演にさることながら、初めてちゃんと観た(自殺サークルだけ観たことあったけど)園子温監督の狂気みたいなものを身に染みて感じた傑作だった。これはすごい。名言も色々飛び出して、あっという間に惹きつけられて見終わった後の世界の色が違うように見えた体験は邦画では久しかった。衝撃という意味も強く今年の邦画のNo,1は固い。

「指輪をはめたい」…男として、今までの人生においてあったさまざまなありとあらゆる恋愛感情が想起させられなんとも気持ち悪いような、ああ分かるwと腑に落ちたりもしてとっても楽しむことができた作品。ぜひ男の人に見てほしいなぁと思いながら、卑屈に空回りした挙句に最後彼が思い出した本当の好きな人とその思いの結末、痛い痛いと味わえて…。山田君もさることなあら、3人女優陣の奮闘にふみちゃんの可愛さも光っていて、ポップにファンタジーな世界観の演出とお話がとてもマッチしていてよかったです。

「ハードロマンチッカー」…韓国の監督さんだし、邦画?というとどうなのかなぁとも思いながら、でも在日の方なのだっけ?わからないけど、邦画としてカウント。自分のための暴力を絶対的に肯定し探し続ける主人公は、なんだかとっても馬鹿でどうしようもないんだけど、誰かのためになんてかこつけないでただただ自分のための暴力というロマンを抱き続ける姿に、暴力ではないけれどロマンを抱き続けたい気持ちが揺さぶられるようで、ロマンを抱きたいと思いつつやっぱりかこつけている自分がいるんだろうとさえ思えたりもしてなかなか響いた一作。

「探偵はBARにいる」…これは大泉洋がはまり役だったと思うし、単純にすごい楽しめた!というランクイン。ハードボイルドだけどちょいとお茶目な役どころのギャップというか切り替えもよく聞いてたと思うし、松田龍平とのコンビもなかなか良かったです。振り回されて、振り回されての最後、男心にぐさりときまして、野暮ったい男の野暮ったい映画でした。吉高由里子のメガネっ子萌え。

「恋の罪」…冷たい熱帯魚に続くランクインということで。実は、正直男としてどういう感想を持てばいいのか若干良く分からないというお話だったし、意気は感じても主演の神楽坂恵の演技がそこまで良かったというと全然はまらなかったんですね。でも、アンジャッシュ児島がすごく良く効いてたと思いました、とてもいい意味で、ちゃんと自分にナルシストになれるタイプの人間で特徴という強みもなく普通さを損なわないで色を足せるって天性のものがある気がする。彼が良かったのがとにかく嬉しい誤算。どこまでも行き過ぎるようなぶっ飛んだ富樫さんにばばあ、強烈で脳裏に焼き付いたし、あのピンク爆弾も会場にいる全男性の玉袋が破裂したんじゃないかって本気で心配しそうになる(若干縮みつつ)凄まじい表現だったし、いやぁ凄かったな。

「REDLINE」…2011年じゃないかな?ドリパスの企画上映で鑑賞。蒼井優って鉄コンの時も思ったけど、声優上手いよね。天性の才能があるわーなんて思いました。カートゥーン調なトーンの色付けがまず好きなのと、画の迫力に音楽の鼓動感までとにかくとにかく熱かった!!!冗長に感じた所も少なからずあるんだけど、それを一切なかったことにできるくらいの熱い魂を感じることができたのでお気に入りです。まぁキムタクはもういいな。

「劇場版神聖かまってちゃん!」…これもすごい正直難しいなぁという微妙なラインなのは、コテコテな悪者がプロデューサーという構図が若干残念に思えたのとかまってちゃん本人達の素人丸出しな演技にも正直なんだかなというのがありまして、うーんと思っていたのだけど、そうした気になっちゃった点を除いてみれば最後のライブのシーンにしたって最高でした。同じ場所にいるって感覚を求めているのか、たったtwitter一つで同じ場所にいれるって思えるような今を象徴するかのようなかまってちゃん。そうゆうこと考えながら彼らの音楽には、凄まじい共鳴があるって思ったんだよほんとに。その同じ場所って感覚を群像劇で描き切ってくれたって思った!

「婚前特急!」…吉高由里子がいわゆるビッチ!5股かけてる女の子をあっけらかんと好演しているんだけど、もうなにがなんだかとにかく吉高由里子の魅力がほとばしっていました。ええ。兵野くんとの掛け合いは笑ったし、テンポよくて、ユーモアのセンス抜群。一切のエロシーンがないというのも面白いなぁー何股もしてて、セックスについての言及が一切ないってところを誰かの言及で気づいて、そういえばなぁとか思ったんだけど、生々しくならない微妙なバランスを上手く綱渡りしていたんではないですかね。とても楽しんだ、ただ着地点がだんだん見えてくるところから、すごーむかついたけどw

「海炭市叙景」…海炭市を生きる人々が折り重なって紡がれる叙景、群像劇は、痛みでも立ち向かう姿でもない、ただ惨めでつつましやかで無様というか。監督が、どんな眼差しをもってこの叙景を描き込んだか、その温かさがスクリーンの向こうに透けて見えるようでした。ノルウェーの森の映画に「深く愛すること。強く生きること」なんてコピーがあって、全然違う作品で引き合いにだすのも心もとないんだけど、同じ時代に生きた作者たち、海炭市叙景の原作者の最後を思うに、おれの口の甘さに対する許容限界の狭さを思い出すくらい深く〜強く〜が甘ったるく思えて「惨めに嫌うこと。無様に死ぬこと」くらいにばっさり切り刻まれるうれしさ心地よさを感じた。皮肉に描くわけじゃない、ありのままに映し出されるだけに、風景がなのかいや目の前の出来事が、そこ対する考えがなのか生きていることがなのかわかんないけど、ずーんとのしかかってくる感覚を味わえてとても印象深い作品でした。

「神様のカルテ」泣いた、良かった。主人公夫婦が仏様のように人間離れしてて浮いた感があるものの、人間味のある物語に、人間味のある脇役人がいて救われる。深川監督の役者の持ち味を引き出し方というか、役者の使い方がすごい好き。音楽も良かった。宮崎あおいの涙はもう観たくない。加賀まりこもとっても良かったと思うし、役者さんの使い方っていう点ですごい気に入ってしまってのランクインでした。

次点 モテキ 白夜行 映画けいおん! まほろ駅前多田便利軒 電人ザボーガー ノルウェーの森 劇場版サラリーマンNEO(笑)

もう、8位9位10位あたりから次点の中はどこがどう入れ替わっても正直おかしくなかったかも知れないなというくらい微妙な感じでした。「モテキ」はなんとも言えない気持ち悪さがあって、たぶん、モテの社会的な現実が透けるところとか、ずるい終わらせ方とか、面白かったところもあるんだけど、気持ち悪いという所がどうにもこうにも優ってしまってという。「白夜行」は神様のカルテと同じ深川監督で役者さんは良かったし(ちょっと船越ですぎたかなってのはあっても)泣けたし、良かったんだけど、原作という偉大な存在の前に二時間という枠に収めるしんどさをちょっとぬぐいきれなかったかな。「映画けいおん!」まぁいいや「まほろ」くるりのエンディングがとにかくすごい良かった。「電人ザボーガー」面白かったが、いまいち自分の特撮離れしていたことを感じてしまいノリきれず。「ノルウェーの森」足の早さと死への歩みが混同させられるような感じとか、二人の女声のコントラスト、色彩など好きな点はもろもろあるんだけど、惜しい。「サラリーマンNEO」無根拠のいい加減さが最高なのですが、それだけでもあったという。

はい。以上です。

邦画全然観れなかった、思い出して考えるだけでも…「奇跡」「東京公演」「サウダージ」「監督失格」「歓待」「大鹿村騒動記」「八日目の蝉」「マイ・バック・ページ」とあるので、本当に後悔ですね。だから微妙なランキングになってしまいました。あえて劇場鑑賞した邦画でランキングをつけるのであれば、という程度のランキングだということでどうぞよろしくお願いします。

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