2011年11月3日木曜日

SFの良さを改めて思い出させてくれる傑作

ミッション:8ミニッツ



監督は、「月に囚われた男」のダンカン・ジョーンズです。「月に囚われた男」は、とてもお気に入りで監督のSF愛と才気の溢れている作品でした。ミッション:8ミニッツは、そんな監督の第二作ということもあってかなり期待していました。先に結論をいえば、この期待をさらに上回ってくれた傑作です。

あらすじ:シカゴ行きの通勤電車の中で目を覚ました陸軍パイロットのコルター。目の前には見知らぬ女性がいた。しかも、鏡に映る自分の顔にも全く覚えがなく、知らない男の身分証明書を携帯している。コルターが混乱していると、乗っていた乗車が大爆発した…。目を覚ました時、コルターは自分が驚くべきミッションに参加していることを知る。電車爆発テロで死亡した男の死の直前8分間の意識に入り込み、テロの犯人の正体を暴けと言うのだ…。

観客も主人公も最初から一体どういう状況かわけのわからないど謎のど真ん中に置かれてしまう。そこから8分間のミッションが繰り返されていく中で、まるでパズルのように1つ1つ繋がっていくシークエンスはとても気持ちがよく一緖になって謎解きをしているような感覚に落ちていけるので、とっても感情移入がしやすくグイグイ引きこまれていきました。

原題のソースコードというタイトルにあるように、彼を8分間のミッションへと駆り出すプラグラム。これが物語の核になるんだけど、あまりこのプログラムについは世紀の発明という以外にはあまり詳しい解説がされなかったと思う。だから若干のもやっとする感じはあって、彼が8分間ある人間の死の直前の記憶に入り込み、真犯人を突き止めようとするわけだが、どうやってそんなことができるんだよ?プログラムって?という疑問はたしかに抱く。でもこの情報化社会にあって、そんな無理そうな話でもないなーって思えてしまって腑に落ちました。

人々の記憶が情報に置き換えられるような時代、記憶にアクセスできるような時代がSF的な発想として片付けるでもなく、この先の現実にありそうな未来に思ってしまえたりする。そんな未来だったら?むしろその発明がもうできていて、プライバシーや悪用されてしまいかねないというような問題から公表されないで極秘裏に開発が進んでいるかも知れない。このSFは、真新しささえないものの、実感のある設定に思えて、SF心くすぐらっれた。小難しくはならないような配慮も見えつつ、観客の想像力を信頼してくれてなぁと。この観客への想像力を信頼ってすごい大事だよね。なんでもかんでも演出過剰だったり、説明過多な作品も多いから、すごい嬉しいなって思う。こういうところからも、この監督のSFへのジャンル愛が見えてくる気がします。

できる限り情報を入れないで観に行ってもらいたいなーと思うので詳しいことは言えないんだけれど、SF、サスペンス要素に絡み付いて描かれていく、人間ドラマが本当に素晴らしかった。「人間ひとりの価値、個人の価値というものはどこにあるのか?」これは監督がこの脚本を読んだ時にこの作品の良さを人間ドラマも部分にあり、惹かれた点として挙げていたもの。アイデンティティとして「月に囚われた男」にも通ずるようなテーマ性ですね。

SF的な特殊な環境だからこそ浮かび上がる哲学性を帯びる人間ドラマをぜひ堪能して欲しいです。ラストには、ほんとグッと来ました!涙がじんわり!

ちなみに
「この映画の結末はいろんな解釈ができますし、観客の間で議論を呼ぶと思います。でも僕の中では“たったひとつのエンディング”しかありえないと思っているので、そこいたるヒントを映画全編に散りばめました。ちなみに、オープニングタイトルが出るシーンにもすでにヒントが入ってます。何度も観て楽しんでほしいですね」

なんて監督インタビューの記事に書いてあったので、この監督の"たった1つのエンディング"に辿りつけるのかを考えてながらみてもらえるのも面白いかも知れないです。正直自分は辿りつけたのかどうか…もう一度観に行きたいと思います笑 

あと「映画通ほど騙される」の売り文句には、ピンとこなくて全然わかりませんでした。もっと映画勉強します。あとあと、、ネタバレになっちゃいそうだから言わないけどすっごい好きなアニメをちょっと思い出しちゃいました。その話はまたしようかな。

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